植田美津恵の「楽に死ぬための10の方法」

医学博士・医学ジャーナリスト 植田美津恵の書き下ろしエッセイ。月に1~2回連載します。

2018-01-01から1年間の記事一覧

本物の緩和ケア!しかも在宅で!!

今月(2018年十二月)の二十六日、国立がん研究センターは、がん患者の4割近くが、亡くなる前のひと月間、「痛みがあった」と答えたアンケート結果を発表しました。調査の対象は遺族たちで、看取った家族の様子についての回答をまとめたものです。 あら…

日本にもありました!「願いのくるま」

以前、このブログで、ドイツの「ラスト・ドライブ」をご紹介しました。日本にもこんな取り組みがあったら、と思っていましたが、なんとありました!日本版「ラスト・ドライブ」が。 何気なく、朝、NHKのニュース番組を見ておりましたら、末期のがん患者を…

「死」への恐怖に打ち克つために…。

「死」が怖いのは何故でしょう。 未経験のことだから。 死んだらどうなるのかわからないから。 自分がこの世からいなくなってしまうから。 死ぬときに痛みがあったり苦しんだりするから。 …などという答えを多くの人が口にすると思います。 「死」が怖いと思…

「無駄な治療を受けない」とはどういう意味か?-②

ひとくちに「無駄な治療」が、具体的に何を意味するのか、あらかじめ知っておくことも大切です。 今回は、ずばり!「無駄な治療」(延命治療)を挙げていきたいと思います。 この場合、対象者は「終末期にある患者」です。つまり、末期のがんなど、すでに死…

「無駄な治療を受けない」とはどういう意味か?-①

先回は、穏やかに死んでいった僧侶たちの死に際を紹介し、彼らに倣って往生するための条件を4つ提示しました。今回は、その中のひとつ、「無駄な治療を受けない」とはどういうことかを考えてみたいと思います。 病気は、治療すれば必ず治るという前提で行わ…

楽に死んでいった先人たちー仏教者たちの最期

楽に死ぬためのひとつの方法として、苦しまずに死んでいった過去の人々の死にざまを知る、というものがあります。 かつて、家で死ぬのが当たり前だった時代には、死ぬ有様を自分の目で見ることができました。でも、今や90%前後が病院施設で終焉を迎える時…

世界の「安楽死」

気鋭のジャーナリスト、宮下洋一氏の「安楽死を遂げるまで」は、安楽死が認められている世界各国の安楽死の実際をルポした力作です。恐らく、これほどまでにリアルな安楽死を描いた著書はほかには見当たりません。 スイス、ベルギー、オランダ、スペイン、ア…

安楽死と尊厳死

先ごろ、脚本家・橋田寿賀子さんの「安楽死宣言」が話題になりました。 ズバリ!「安楽死で死なせてください」のタイトルで新書も発売されています。 多くの人が、無駄な延命治療は避けたい、と口にする時代になり、橋田さんのような願いを明らかにする人が…

「ラスト・ドライブ」のことードイツ発最期の願い(後半)

「願いの車」で最後のドライブをするのは、海や湖などの場所へ行く人ばかりではありません。 「自分の家へ帰りたい」と思い、「願いの車」を依頼する人もいます。人生の最期、場合によっては自宅へ帰ることさえ困難であることが、このことから伺えます。 日…

「ラスト・ドライブ」のこと ー ドイツ発最期の願い(前半)

私が、このブログを書くことを決めたのは、「ラスト・ドライブ」というドキュメンタリー番組を見たことがきっかけでした。 ドイツの北西部の町、エッセン。 番組は、「願いの車」と書かれた車が颯爽と走っている場面から始まります。 「人生の最期のとき、人…